ケース・メソッドとは

「ケース・メソッド」とは世界で最も有名なビジネススクール(経営大学院)と言われるハーバード・ビジネススクールにおいて 1900年代の初頭から開発・改良されてきた実践的な経営教育の方法で、学生と教授が、現実の経営事例を教材にして議論を行いながら、 “現実と同等の状況で意思決定を行う”訓練を積み重ねることで経営スキルを修得するという点に(一般的な知識や理論の一方的講義とは異なる)特徴があります。

「ケース・メソッド」で使用される教材の中には、実在する企業の実際に起きた事例とその事例を構成する事実情報 (一部数字が加工されている場合もあります)が描かれてはいますが、一方、それ以上の分析などは記述されていません。 したがって利用者には、それらの情報から、問題の把握・分析から解決案の立案と選択・実施計画の立案までの全てを自分自身で行うことが求められます。 いわゆる「事例研究資料」との違いは、何よりも登場人物の立場に立って考えるところ(ケースで学ぶ)にあると言えます。

主な利用場面としては、ビジネスに対する知見を身につけた上でそれらを活用した意志決定の手順・方法を学ぶための企業内マネジメント研修において 経営者や管理者に適用されることが目立ちますが、個人が手軽に「経営(の選択肢)について考える」ことの訓練に使える側面も持っているため、 近年では多くの企業内個人による活用も増えつつあります。

全世界の主要ビジネススクールにおける標準的な教育法として普及し、日本でも慶應ビジネススクールをはじめ様々な大学院において採用されている「ケース・メソッド」。 最初から1つの正解だけを覚えるのではなく、答を探すために様々な仮説を考え、必要に応じて皆で議論することによって学習することが求められるその性格は、 活用次第で自らの思考の枠を取り払うための大きな助けとなること間違いありません。

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その効用をフルに引き出すため、是非とも同僚の方や勉強会のメンバーなど自分以外の方と積極的に議論されることをオススメします。 お互いの知識、情報を相互にぶつけ合い、共有することで効果はさらに高まることでしょう。